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相続登記Q&A

相続登記について

Q1.
相続登記とは何ですか?
Q2.
相続登記は、すぐにしなければいけないものなのですか?
また、しないとどうなるのですか?
Q3.
被相続人名義の不動産を売却したり担保に入れたりするときに、相続登記を省略することはできますか?
Q4.
相続登記に必要な書類は?
Q5.
数次にわたって相続があった場合、中間の相続を省略して直接最後の相続人名義に相続登記できますか?<中間省略の相続登記>

相続人・遺産分割について

Q6.
相続人になるのは誰ですか?また、各相続人の相続割合はどのように決まりますか?<法定相続分>
Q7.
被相続人に多額の借金がありますが、どうしたらよいですか?<相続放棄>
Q8.
遺産分割の方法には、どのようなものがありますか?<遺産分割協議>
Q9.
相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議は、どうすればいいのですか?<特別代理人>
Q10.
相続人の中に認知症の人がいるのですが、遺産分割協議はできますか?<成年後見人・保佐人・補助人>
Q11.
相続人のうちの1人が行方不明なのですが、遺産分割協議をするにはどうしたらいいでしょうか?<不在者財産管理人>

遺言・遺留分について

Q12.
遺言書が出てきた場合の相続手続は?
Q13.
映像や音声で作成された遺言は有効ですか?
Q14.
遺言書があるかどうかは、どうすればわかるのですか。
Q15.
遺言書が何通も出てきた場合は、どうなるのでしょうか?
Q16.
亡くなった人が、「遺産はすべて愛人に遺贈する」という遺言書を残していた場合、相続人は何ももらえないのですか?<遺留分>
Q17.
被相続人の自筆の遺言書(自筆証書遺言)があればすぐに相続登記できますか?<検認>
Q18.
認知症の人でも有効に遺言をすることはできますか?<遺言能力>
Q19.
遺言があるのですが、その内容と異なる遺産分割をすることはできますか?<遺言と遺産分割>
Q20.
遺言を確実に実現してもらうためにはどうしたらよいでしょうか?<遺言執行者>

相続登記についての答え

相続登記とは何ですか?

A1.
不動産の名義を持っている人が亡くなったときにする「不動産の名義変更」のことです。

ある人が亡くなった場合、その財産は、相続人に移転します。その財産の中に土地や建物などの不動産に関する権利がある場合、法務局でその名義変更の手続をすることになります。
この名義変更の手続のことを相続登記と言います。

不動産に関する権利には、所有権だけでなく、地上権や賃借権・(根)抵当権などもありますので、亡くなった人がこれらの権利の名義人として登記されていれば、これらの権利についても相続登記をすることになります。また、亡くなった人が(根)抵当権の債務者になっている場合は、これについても登記をすることになります。

相続登記は、すぐにしなければいけないものなのですか?また、しないとどうなるのですか?

A2.
すぐにしなければならないわけではありませんが、放っておくといろいろな問題が…

不動産の権利の登記をすることは、法律上義務付けられているわけではありません。
ですから、相続があった場合に相続登記をしないまま放っておいても、法律上罰せられることはありません。

ただし、相続登記をしないで放置した場合、次のような問題が起こることが考えられます。

  • 相続人となった人が亡くなってしまったら・・・

    例えば、Aが亡くなって、B・Cが相続人となった後、すぐに遺産分割協議をして相続登記をした場合、遺産分割協議はB・Cの2人がすればよく、登記手続きに要する書類も少なくて済みます。

    ところが、遺産分割協議も相続登記もしないでいたところ、10年後Cが亡くなってしまい、D・E・FがCの相続人となった場合、Aの財産について遺産分割協議をするにはB・D・E・Fの4人が参加しなければならなくなります。遺産分割協議は当事者が多くなるほどもめる可能性が高くなりますし、登記手続きに必要な書類も多くなってしまいます。

  • 不動産を勝手に処分されてしまう危険が・・・

    例えば、Aが亡くなって、B・Cが相続人となった後、Aの不動産はBがすべて相続するという遺産分割協議をしたとします。Bがその登記をしないでいる間にCが勝手にB・Cの共有名義で法定相続分の登記をした上、DのためにCの持分に抵当権を設定したとします。

    Bとしては、不動産を全部相続したと思っていたわけですが、このような事例では、BはDに対して抵当権が無効であると主張することはできません。
    遺産分割協議をして、自分の法定相続分を超える持分を取得することになっても、その持分は、登記をしておかないと第三者には対抗できないのです。

                        

被相続人名義の不動産を売却したり担保に入れたりするときに、相続登記を省略することはできますか?

A3.
相続登記を省略することはできません。

必ず相続登記をして相続人に名義を移してからでないと、買主に所有権移転登記をしたり、金融機関に抵当権設定登記をすることはできません。そのため、相続登記をしないまま放置すると次のようなケースも考えられます。

例えば、Aが亡くなって、B・Cが相続人となった後、Aの不動産はBがすべて相続するという遺産分割協議をしたものの、協議書を作成せず相続登記もしていなかったとします。

その後、Bが相続することになった不動産を高く買ってくれるというDが現れたので、BがDに売買を原因として所有権移転登記をすることになったという場合、不動産をAの名義から直接Dに移すことはできません。

この場合、まずBへの相続登記をする必要があります。ここで慌てて遺産分割協議書を作って相続登記をしようとしても、事情を知ったCが素直に協議書に判をついてくれるとは限りません。

相続登記に必要な書類は?

A4.
ケースによりますが、一般的には次のような書類が必要です。
◇被相続人(亡くなった人)に関する書類
  • 被相続人が14歳位の時から死亡するまでの親族・相続関係を証明できる戸籍・除籍・改製原戸籍謄本等
  • 死亡時の住民票の除票(本籍付きのもの)又は戸籍の附票
◇相続人に関する書類
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票(本籍付きのもの)または戸籍の附票
<遺産分割協議をする場合>
  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名と個人実印の押印のあるもの)
  • 相続人全員の印鑑証明書
◇相続の対象となる不動産に関する書類
  • 固定資産評価証明書(登記をする時点の年度の評価額が記載されたもの)
◇その他
  • 遺言書がある場合や相続に関して調停や判決などがあった場合等は、必要な書類が上記とは異なる場合があります。

数次にわたって相続があった場合、中間の相続を省略して直接最後の相続人名義に相続登記できますか?

A5.
中間の相続人を省略して相続登記できる場合があります。

二代にわたって相続が生じている場合、原則として、①「祖父→祖父の相続人」、②「祖父の相続人→祖父の相続人の相続人」というように、相続登記を2回行う必要がありますが、例外的に「中間が単独相続」の場合は、中間の相続を省略して最後の相続人名義に直接相続登記をすることができます。「中間が単独相続」の場合とは、①の「祖父の相続人」が父だけだった場合や、「祖父の相続人」が数人いたが遺産分割協議で父のみが遺産を相続すると決めた場合のように、中間の相続の財産を取得する人が1名のみだった場合のことです。最終の相続人が2名以上でも問題ありません。

相続人・遺産分割についての答え

相続人になるのは誰ですか?また、各相続人の相続割合はどのように決まりますか?

A6.
被相続人の親族の構成によりますが、大きく分けると次のようになります。
  • 配偶者と子がいる場合
    →配偶者(1/2)と子(1/2を子の人数で均分 ※ⅰ)
  • 配偶者と親がいるが子がいない場合
    →配偶者(2/3)と親(1/3を親の人数で均分)
  • 配偶者と兄弟姉妹がいるが子と親はいない場合
    →配偶者(3/4)と兄弟姉妹(1/4を兄弟姉妹の数で均分 ※ⅱ)
  • 配偶者しかいない場合
    →配偶者が全部相続
  • 子しかいない場合
    →子が全部相続(子の人数で均分 ※ⅰ)
  • 兄弟姉妹しかいない場合
    →兄弟姉妹が全部相続(兄弟姉妹の人数で均分 ※ⅱ)
  • 婚姻による子と婚姻外の子がいる場合、後者の法定相続分は前者の1/2になります。なお、婚姻外の子で認知されていない者は、相続人にはなりません。
  • 父母の双方が同じ兄弟姉妹と父母の一方のみが同じ兄弟姉妹がいる場合、後者の法定相続分は前者の1/2になります。

なお、相続人となるべき子又は兄弟姉妹が先に亡くなってしまっている場合は、その子又は兄弟姉妹の子が相続人(代襲相続人)となります。

子の代襲相続人になるべき人も亡くなってしまっている場合は、更にその子が代襲相続人となります(再代襲)が、兄弟姉妹の代襲相続人になるべき人が亡くなっている場合は、その子が代襲相続人となることはありません。

被相続人に多額の借金がありますが、どうしたらよいですか?

A7.
相続放棄することによって、被相続人の負債を相続しないことができます。

自分が相続人となったことを知ってから、そのまま3ヶ月経過すると、単純に相続をすることを承認したことになり、被相続人の財産だけでなく借金などの債務も当然に相続することになります(単純承認)。

しかし単純に相続するのが不都合な場合も考えられるため、ケースに応じた相続の方法が法律上用意されています。

  • 被相続人の財産より借金の方が明らかに多いとき

    →「相続放棄」という方法があります。
    亡くなった人が、生前から多額の借金を抱えており、めぼしい財産も持っていなかったというような場合、そのまま相続してしまうと、相続人は借金ばかり抱え込むことになります。このような場合、自分が相続人となったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄する旨を申述することができます。

    これにより、その申述をした人ははじめから相続人にならなかったことになりますので、被相続人の財産も相続しない代わりに借金などの債務も抱え込まなくてよくなります。

  • 被相続人に借金もあるが、財産の方がやや多いような場合

    →「限定承認」という方法があります。

    「限定承認」とは、相続によって取得した財産の限度においてのみ借金を支払うという条件で相続を承認する方法です。これも被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することによって行いますが、相続放棄と違って相続人全員が共同してしなければなりませんので、手続は複雑になります。

遺産分割の方法には、どのようなものがありますか?

A8.
遺産分割の方法には次の3つがあります。
  • 現物分割

    文字通り、遺産自体を現物で分ける方法です。例えば相続人がA・B・Cの3人で、遺産が自宅と別荘の不動産と預貯金である場合に、「自宅はA」「別荘はB」「預貯金はC」というように分けたり、「不動産はA・Bの共有、預貯金は3人で均等割」というように分ける方法です。

    財産が相続人間でバランスよく分けられる場合や、ある程度相続分に差が出ても当事者が納得できる場合は、この方法で問題ないでしょう。

  • 代償分割

    めぼしい遺産が自宅の土地・建物しかなく、共有にするのは都合が悪いというような場合に、現物を取得する相続人が、現物をもらえない相続人に対して、代わりにお金を払ってバランスをとるという方法です。

  • 換価分割

    現物の分割がうまくいかないとか、現物をほしい相続人がいないといった場合に、遺産の現物を売って、代金を相続人が分けるという方法です。

以上のような方法(組み合わせることもできます)を使って、相続人全員が協議して分割の内容を決定します。

協議のやり方ですが、相続人が全員集まって話し合うのが望ましいところですが、書面の持ち回りなどですることもできます。ただし、相続人全員が協議内容に合意することが必要です。

1人でも同意しなかったり協議に参加していない場合は、遺産分割協議は無効ですので、注意が必要です。 協議が成立したら遺産分割協議書を作成し、全員が実印で押印して印鑑証明書を付けます。当事者間で協議が調わない場合は、家庭裁判所に調停や審判を求めることもできます。

相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議は、どうすればいいのですか?

A9.
未成年の子の親も相続人となる場合や、相続人に未成年の子が数人いる場合は、特別代理人を選任して遺産分割協議をする必要があります。

未成年者は、単独で遺産分割協議をすることはできませんので、親権者などの代理人が未成年者に代わって遺産分割協議をすることになります。しかし、親の一方が亡くなった場合は、他方の親とその子が相続人となり、相続に関して利害が対立する関係(利益相反)となるため、親が適切に子を代理することは期待できません。

また、親が相続人とならない場合でも、数人の未成年の子が相続人となる場合に、親がその全員を代理して遺産分割協議をするとしても、同じことが言えます。

このような場合は、家庭裁判所に対し、未成年者のために特別代理人を選任することを請求し、特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議をする必要があります。
特別代理人には、通常、子の叔父や叔母などの親族が選任されます。

相続人の中に認知症の人がいるのですが、遺産分割協議はできますか?

A10.
認知症等で判断能力に問題がある人がいる場合、その人のために成年後見人又は保佐人補助人を選任して遺産分割協議をすることが必要になる場合があります。

遺産分割協議をすることは相続人の財産に大きな影響を与えますので、これを行うには正常な判断能力(民法上の「行為能力」)が必要とされ、判断能力に問題のある人が参加した遺産分割協議は、後で取り消されたり無効とされたりする可能性があります。

現在は、認知症などで判断能力に問題がある人については、判断能力の程度に応じて成年後見人や保佐人、補助人を選任し、これらの人が本人を代理して遺産分割協議をしたり、本人が遺産分割協議を行うに当たって同意をしたりすることで遺産分割協議を有効に行うことができます。

成年後見人や保佐人、補助人は、家庭裁判所に請求をして選任してもらいます。

相続人のうちの1人が行方不明なのですが、遺産分割協議をするにはどうしたらいいでしょうか?

A11.
行方不明の相続人のために「不在者財産管理人」を選任し、不在者財産管理人が家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議を行います。

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、相続人の中に行方不明者がいるからといって残りの相続人だけで遺産分割協議をしても手続上無効です。
相続人の中に行方不明者がいる場合は、その人のために不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に請求し、不在者財産管理人が家庭裁判所の許可を得て本人の代わりに遺産分割協議を行うことになります。

遺言・遺留分についての答え

遺言書が出てきた場合の相続手続は?

A12.
遺言が有効であれば、その内容にしたがって相続することになります。

遺言では、遺産分割方法の指定(ex.妻Aは○○の土地を取得する。長男Bは××の建物を取得する・・・)や、相続分の指定(ex.妻Aは財産の2/3を相続する。長男Bは財産の1/3を相続する・・・)、遺贈、遺言執行者の指定、認知、相続人の廃除などをすることができます。

しかし、遺言の方式は民法で定められており、この定めに従わないで作成された遺言は、法律上無効です。遺言の方式には、普通方式と特別方式があり、通常の遺言書は普通方式によって作成されます。普通方式の遺言の種類と法律で定められた要件は次のとおりです。

  • 自筆証書遺言
    • 全文を遺言者が自筆で書く。
    • 日付がある。
    • 署名がある。
    • 押印がある。
  • 公正証書遺言
    • 証人が2人以上立ち会う。
    • 遺言者がその内容を公証人に口で説明する。
    • 公証人がその内容を書いて、遺言者と証人に読み聞かせる。
    • 遺言者と証人が間違いないことを確認し、署名・押印する。
    • 公証人が上記の方式に従ったことを書いて、署名・押印する。
  • 秘密証書遺言
    • 遺言者が作成した遺言書に署名・押印する。
    • 封をして(ⅰ)と同じ印鑑で封印する。
    • 遺言者が公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自分の遺言書である旨と氏名・住所を述べる。
    • 公証人が日付等を封書に記載し、全員で署名・押印する。

    公正証書以外の遺言書は、家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。
    また、封印がされている遺言書は、家庭裁判所で開封しなければなりません。

    遺言で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者が遺言の執行に関するすべての権限を有することになりますので、それ以外の者が遺言を執行したとしても無効です。なお、遺言執行者の指定は遺言でしかできませんので、遺言した人が生前に「遺言執行者はA」と指定していたとしても、遺言に記載されていなければ、その指定は無効です。

映像や音声で作成された遺言は有効ですか?

A13.
法律の定めた方式によらない遺言は無効です。

ビデオテープやDVDで作成された遺言や、単に相続人となる人を集めて口頭でなされただけの遺言は、法律上、効力を生じません。

遺言書があるかどうかは、どうすればわかるのですか。

A14.
公正証書遺言か秘密証書遺言であれば、公証役場で有無を検索できます。

自筆証書遺言は、遺言者が個人的に作成して保管するものですので、貴重品を保管しておく場所などをさがして見つけるしかありませんが、公正証書遺言・秘密証書遺言は公証人が関与して作成するものですので、日本公証人連合会のデータに記録されます。

相続人であれば、公証役場で遺言検索システムを利用して遺言書の有無を照会したり、遺言書の閲覧や謄本請求をすることが可能です。なお、秘密証書遺言は公証役場に保管されるものではありませんので、遺言書がいつどこの公証役場で作成されたかまでは検索できますが、閲覧や謄本請求をすることはできません。

遺言書が何通も出てきた場合は、どうなるのでしょうか?

A15.
要件を満たしている限りどの遺言書も有効ですが、日付が前の遺言書の内容に後の遺言書の内容が抵触するときは、抵触する部分は後の遺言書の方が有効になります。

例えば、前の遺言書に「甲土地はAに、乙土地はBに相続させる」と書いてあったのに、後の遺言書では「乙土地はCに相続させる」と書かれていた場合、甲土地はAが相続することは変わりませんが、乙土地については、Cが相続するということになります。

更にその後の遺言書が出てきて「乙土地はBに相続させる」と書かれていた場合は、乙土地はBに相続させるというのが遺言者の最終的な意思だと考え、Bが相続することになります。
なお、遺言の種類に優劣はありませんので、前の日付の遺言書が公正証書遺言で、後の日付の遺言書が自筆証書遺言だったとしても、内容が抵触する部分は後の自筆証書遺言が優先します。

亡くなった人が、「遺産はすべて愛人に遺贈する」という遺言書を残していた場合、相続人は何ももらえないのですか?

A16.
相続人(兄弟姉妹を除く)には、その生計を維持するため、それぞれ一定割合の相続分が保障されており、遺言でもこれを勝手に減らすことはできません。
この保障された部分を「遺留分(いりゅうぶん)」といいます。

遺留分を有する相続人を「遺留分権利者」といいます。各遺留分権利者に保障されている遺留分は、以下のとおりです。

  • 配偶者のみの場合:相続財産の1/2
  • 子のみの場合:相続財産の1/2
  • 親のみの場合:相続財産の1/3
  • 配偶者と子の場合:配偶者=相続財産の1/4、
    子=全員の合計で相続財産の1/4
  • 配偶者と親の場合:配偶者=相続財産の2/6、
    親=全員の合計で相続財産の1/6

遺留分についての権利は、当然に遺留分権利者のために確保されているものではなく、これを行使してはじめて、遺留分を取り戻すことができます。この権利行使を「遺留分減殺(げんさい)請求」といいます。

この請求は、相続が開始したこと及び遺留分を侵害する遺贈又は贈与があったことを知ってから1年以内にしなければなりません。また、相続開始から10年経過すると、相続開始や遺留分の侵害を知らなかったとしても請求できなくなりますので、注意が必要です。

遺贈に限らず、生前になされた贈与も、相続開始前1年内のものであれば遺留分減殺請求の対象になります。

遺留分減殺請求の方法については、法律上特に規定がありませんので、相手方に口頭で意思表示するだけでも効力を生じますが、裁判になることも多いですから証拠を残すために内容証明郵便を送るなどしておくべきでしょう。

被相続人の自筆の遺言書(自筆証書遺言)があればすぐに相続登記できますか?

A17.
自筆証書遺言は、検認を受けなければ登記で使うことはできません。

自筆証書遺言を登記原因を証する書面として相続登記をすることはできますが、公正証書遺言以外の遺言はすべて家庭裁判所で検認を受ける必要があり、検認のない自筆証書遺言を相続登記申請で添付しても登記は受理されません。

遺言書の検認は、亡くなった遺言者の最後の住所地の管轄家庭裁判所に申し立てて行いますが、東京家庭裁判所の場合、検認を申し立ててから検認期日に検認をするまで、1ヶ月程度かかるようです。

検認手続・必要書類に関しては、こちらをご参照ください。
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_17.html

認知症の人でも有効に遺言をすることはできますか?

A18.
成年被後見人であっても、一定の場合、医師の立会いの下に遺言を作成することができます。

遺言者が15歳以上で意思能力があれば、成年被後見人・被保佐人・被補助人であっても、遺言をすることができます。

成年被後見人の場合のみ、2人以上の医師が立会い、遺言をする時に事理弁識能力が回復している旨を遺言書に付記し署名押印するという手続きが必要となります。被保佐人・被補助人はそのような手続きを経なくても遺言をすることができますし、認知症などで判断能力に疑問があるけれども後見等の審判を受けていないという方も、遺言をする時において意思能力があれば遺言をすることができます。

しかし、意思能力のない状態で作成した遺言は無効ですので、判断能力に疑問がある方が遺言をする場合は、後日遺言の無効が争われるリスクを軽減するために、成年被後見人の場合と同じく上記の手続きに従って遺言を作成する方がよいと思われます。

また、この手続きを経て作成された遺言でも、遺言時点で遺言者が意思能力がなかったと判断されれば遺言が無効となることがありますので、この手続きを経るほかに、医師に診断書を作成してもらう、遺言者の生活状況・病気の状況等を細かに記録するなどして、遺言者の状況を記録化しておくと、後日遺言能力が争われた際の証拠になり得るため良いでしょう。

遺言があるのですが、その内容と異なる遺産分割をすることはできますか?

A19.
遺言と異なる遺産分割協議は実務ではよく行われていて、判例でも有効と判断する方向にあるといえます。ただし、効力が認められない場合もありますので注意が必要です。

例えば、遺言の内容が特定の土地建物を相続人の一部の者に「遺贈する」という内容だった場合、遺贈を受けた人が自己に有利な遺言の内容を知りながらこれと異なる遺産分割協議を成立させると、遺贈の全部又は一部を放棄したものと認められ、遺産分割協議は遺言に優先します。

遺贈ではなく、遺言に特定の財産を特定の相続人に「相続させる」と記載されている場合は、特定の財産は遺言により特定の相続人に当然に帰属しますが、遺産分割協議により、特定の相続人が遺言によって取得した取得分を相続人間で贈与ないし交換的に譲渡する旨の合意をしたものと解されますので、この場合も遺産分割を成立させることができると考えられます。

判例は、このような考え方によって遺言と異なる遺産分割を有効と判断する方向にあります。

ただし、遺言者が遺言と異なる遺産分割を禁じている場合、相続人でない者に対して遺贈する内容の遺言の場合などには、相続人が遺言と異なる遺産分割協議を成立させたとしても効力が認められません。

遺言を確実に実現してもらうためにはどうしたらよいでしょうか?

A20.
遺言で遺言執行者を指定しておけば、その遺言執行者が遺言の内容を実現するための手続を行います。

遺言書を作成しても、その内容を実現してもらえるとは限りません。特に法定相続分と異なる配分を指定した場合や、相続人以外に遺産を与える内容の場合など、相続人が遺言執行に協力してくれるかどうか不安なときは、信頼できる相続人かあるいは弁護士・司法書士などの専門家を遺言執行者として指定しておくとよいでしょう。

遺言執行者がいるときには、相続人は遺言執行の対象となる相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることはできません。そしてこれに違反されてなされた相続人の処分行為は、無効であるとされています。

遺言執行者が任務を怠った場合は、利害関係人は家庭裁判所に解任の請求を行うことができます。また、遺言執行者の報酬についても、遺言で定めておくことができます。

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